諸刃の剣・業務代行権限

就業規則その他諸規程の作成・改定

 

諸刃の剣

 

 労使トラブルの未然防止や日常業務の円滑化ないし効率化のためには非常に有用性の高い就業規則ではありますが、これには「諸刃」の側面があります。すなわち、就業規則に盛り込んでしまったがために、自社にとって、かえってそれが無用の手枷足枷となるという場合です。
 

 例えば、法定時間外労働における割増賃金についての割増率に関して、月間60時間超の部分は50%が原則となりますが、中小企業であれば猶予措置として従来通りの25%で当面認められます(平成31年3月末まで)。しかし、厚生労働省のモデル就業規則などをそのまま流用してしまった場合、原則の50%で割増率が規定されているため、たとえ個別の労働契約において25%として規定されていたとしても、就業規則で定める労働条件を下回る合意は無効となり、就業規則で定める基準が適用される結果(労働契約法第12条)、労使双方の想定を超えて実質的な合意内容とは異なる外形上の法的な義務が発生してしまうわけです。
 

 このように、就業規則の作成において、自社の事業活動や実情に適合しない汎用モデルの安易な流用や、文面上無意識的に曖昧さを残すことは大変危険です。また、いったん自社の就業規則ということで労働者に周知してしまった場合、外形上労働者に不利益に働く方向へ就業規則を変更するのは大変困難を伴います(労働契約法第9条、同法第10条)。
 

 したがって、就業規則の作成に当たっては、なるべく初回導入の段階から、将来の事業活動の展開等も可能な限り見据えた上で、過不足のない設計構築が求められることがよくお分かりいただけると思います。
 

業務代行権限

 

 就業規則の作成及び届出につき、企業の経営主体である事業主自身や人事担当の従業員がこれを行うことは当該企業の(人事・労務管理)業務として当然可能です。
 

 しかしながら、これを外部において代行業務を受託することが認められるのは、労働社会保険諸法令に関する専門家である社会保険労務士だけです。社会保険労務士法第2条第1号及び第2号により定められた書類の作成及び届出又は帳簿書類の作成に該当することが関係官庁の下記通達により明示されております。

・平成7年3月30日付労働大臣官房労働保険徴収課長による通達

・平成23年12月21日付厚生労働省基準局監督課長による通達

 

 これらの通達からは、国家資格である社会保険労務士の独占業務として行政機関が明言していることからも、就業規則の作成について、深い知見と高度の専門性が要求されることを前提としていることが窺えます。

 

 

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