キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者・短時間労働者・派遣労働者など非正規雇用労働者のキャリアアップなどを図る目的で、正社員化や処遇改善を進めるなど一定の要件を充たした事業主に対して支給される助成金であり、平成25年度に創設された厚生労働省が管掌する制度です。

 キャリアアップ助成金は、これまでも数度にわたり助成額や支給要件などに変更が加えられていますが、平成30年度においても、昨今の雇用情勢の改善や平成25年度の労働契約法改正による「無期転換の申込み」が本格化する見込みなどをふまえ、この4月から制度内容にいくつかの変更が実施されています。

 そこで、今回は、平成30年度におけるキャリアアップ助成金制度の具体的な変更点について、以下、各コースごとにご案内いたします。

 

1.正社員化コースの変更点

 正社員化コースは、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換した場合や派遣労働者を直接雇用した場合に助成されるものですが、制度内容の拡充と支給要件の追加といった変更がありました。

⑴支給申請の上限人数の拡充

 1事業所当たりの上限人数につき、従来は1年度に15人まででしたが、より一層の正社員化の促進を狙いとして、1年度に20人まで拡充されています。

⑵支給要件の追加

 正規雇用等への転換に際して、以下の2つが支給要件に追加されています。

①転換後6ヵ月の賃金が転換前6ヵ月の賃金に比べ5%以上増額されていること

 この点、従来は、“有期契約労働者から無期雇用労働者に転換させた場合”にのみ、“基本給を”5%以上増額させることを要件としていました。

 なお、ここでいう「賃金」は、今回の変更で正規雇用への転換の場合にも適用されることをふまえ、基本給のみならず賞与や諸手当(時間外手当・通勤手当など)を含めた賃金総額を指すこととなっている点にも注意が必要です。

②有期契約労働者からの転換の場合、転換前の雇用期間が3年以下であること

 平成30年度からの無期転換の申込みの本格化をふまえ、より早期の正規雇用等への転換を促す狙いから、この要件が追加されました。

 なお、無期雇用労働者から正社員に転換させた場合については、従来通り、転換前の雇用期間が3年を超える場合でも対象となります。

 

2.人材育成コースの変更点

 人材育成コースは、非正規雇用労働者を対象とした訓練(Off-JTまたはOJT+Off-JT)を実施した場合に助成されるものですが、より一層の企業内での人材育成における活用促進と利便性向上を図るため、建設労働者確保育成助成金の認定訓練コース・技能実習コース、障害者職業能力開発助成金を含め、「人材開発支援助成金」として整理統合されました。

 ただし、平成30年3月30日<注>までに訓練計画届が提出されている場合に限り、引き続き、人材育成コースでの支給申請が可能となります。

 <注>:3月31日は土曜日であるため、前日の30日が提出期限とされています。

 

3.賃金規定等共通化コースの変更点

 賃金規定等共通化コースは、正規雇用労働者と共通の職務等に対応した賃金規定等を新たに作成の上、実際に適用した場合に助成されるものですが、新たに2人目以降の対象者が生じた場合、その人数に応じた助成額を上乗せする加算措置(上限20人まで)が創設されました。

・中小企業
 対象労働者1人あたり20,000円(24,000円※)
・中小企業以外
 対象労働者1人あたり15,000円(18,000円※)
※( )内は生産性要件を満たした場合の金額です。

 

4.諸手当制度共通化コースの変更点

 諸手当制度共通化コースは、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設定し、実際に適用した場合に助成されるものですが、新たに以下の2つの加算措置が創設されました。

⑴対象者(2人目以降)の人数に応じた加算措置(上限20人まで)

 共通化したの対象者(2人目以降)が生じた場合、その人数に応じた助成額を上乗せする加算措置となります。

・中小企業
 対象労働者1人あたり15,000円(18,000円※)
・中小企業以外
 対象労働者1人あたり12,000円(14,000円※)
※( )内は生産性要件を満たした場合の金額です。

⑵諸手当(2つ目以降)の数に応じた加算措置

 非正規雇用労働者の待遇改善をさらに促進させる狙いから、同時に複数の諸手当制度を共通化する事業主への支援を手厚くするための加算措置です。

・中小企業
 諸手当の数1つあたり160,000円(192,000円※)
・中小企業以外
 諸手当の数1つあたり120,000円(144,000円※)
※( )内は生産性要件を満たした場合の金額です。

 

 詳しくは、厚生労働省のホームページ内において、キャリアアップ助成金についてのパンフレット・リーフレットや申請様式、主な改正内容や制度変更のお知らせなどが確認できますので、そちらも合わせてご覧下さい。